インターネットを安心・安全に利用するために
 子どもにインターネットを使わせるときには
◇最近は一般家庭へもインターネットが普及し、家庭で子どもがインターネットに触れる機会も多くなっているのではないでしょうか。しかし、インターネット上には不適切な情報も多く存在し、心配されている方も多いと思います。
◇子どもがインターネットを利用するときは、おうちの方と一緒に利用するのが理想です。しかし、いつも一緒に見ることができるとは限りません。まず、子どもがインターネットを利用できるパソコンは、大人の目の届くところに置くようにしましょう。そして、使うときはおうちの方に「何を調べたいのか」目的意識をはっきりさせてから使わせるなど、ルールを決めましょう。また、おうちの方が子どもの興味がある分野や学習に使う「お気に入り(ブックマーク)」を作っておき、その範囲内で利用する約束にしておくのもいいでしょう。
◇ホームページの中には、悪意のある人がイタズラ目的で作ったページや、アダルトサイトなどがあります。子どもには、そういう「悪い人が作ったページ」があることを知らせておきましょう。もし、インターネットを使っていて、そのようなページに出会ったときは、おうちの人に相談するように言っておきましょう。また、すぐにおうちの人に相談できない時は、ブラウザの「戻る」ボタンや「閉じる」ボタンをクリックして、それ以上進まないように約束しておきましょう。

 個人情報を大切に
◇ご家庭に迷惑な広告メールや手紙が届いたり、勧誘の電話がかかってきたりしたことはありませんか。実は、こんな行動が原因で起こってしまうことがあるのです。
◇例えば、プレゼントやサービスが受けられるというホームページで、必要以上に個人情報を求められた経験はありませんか。学校名や勤務先、家族の情報など、プレゼントとはまったく関係のない項目まで入力を求められることがあります。子どもはプレゼントに誘われて、つい個人情報を入力してしまうかもしれません。しかし、個人情報が悪用され、その先どのように使われるか分からない場合があるのです。中には集めた個人情報を売買する業者もいます。その結果、迷惑な勧誘だけでなく、ご家庭の様子が知られて空き巣被害などにつながる可能性もあるのです。
◇個人情報を入力するときには、十分な注意が必要です。子ども一人の判断で個人情報を入力させないようにしてください。大人と一緒に入力するときは、必要以上の個人情報が求められていないか、主催者が信頼できるかどうかをチェックしてください。チェックした結果、入力をやめる、必要事項のみ書き込むなど慎重に対応するようにしてください。
 掲示板のリンクに注意
◇インターネットの掲示板では、悪意のある書き込みがされることがあります。誹謗・中傷やデマなどの情報、アダルト・出会い系サイトへの勧誘が書き込まれることなどがあります。さらに、次のようなホームページへのリンクが書き込まれることがあります。
・ブラウザクラッシャー(ブラクラ)
 リンクをクリックすると、ブラウザやシステムが異常動作するものです。中には、ウイルスや個人情報を盗み出す仕掛けがしてあるページの場合もあります。
・マインドクラッシャー(マイクラ)
 リンクをクリックすると、見た人が不快に思うグロテスクな画像や映像が表示されるものです。例えば、死体画像や事故の瞬間などの映像です。子どもが見た場合、気分が悪くなる、ショックを受けるなどの影響の他に、そのような残酷性に鈍感になっていくという精神状態を生み出す可能性があります。
◇インターネット上の掲示板は、匿名で自由に書き込むことができ、このような危険なページにつながるリンクが書き込まれていることがあります。掲示板に書かれている不審なリンクは、むやみにクリックしないこと。これが一番の対策です。
 ダウンロードの落とし穴
◇インターネット上で公開されているプログラムや素材などを、自分のパソコンに持ってくることをダウンロードといいます。インターネットでは、素材・プログラムなどを無料で提供する文化があり、有用なソフトや素材を入手することが可能です。しかし、ダウンロードする際に注意をおこたると問題が起こることがあります。ダウンロードしてよいかどうかは、次のような観点で判断をしましょう。
 ・内容に問題はないか(著作権の侵害はないか、内容は適切かなど)
 ・ダウンロードするものは安全か(ウイルス、不正プログラムなどの心配はないか)
 ・自分のパソコンの受け入れ体制は整っているか(メモリー、OSの種類など)
◇インターネットは、子どもたちにとっても宝の山です。写真・音楽・プログラム・ゲームなど、たくさんのものを手に入れることが可能です。しかし、そこにはルールがあり、契約事項も発生してきます。
 ・金銭的契約の発生:市販品のダウンロードには、金銭的な契約が発生します。支払い方法は、ほとんどがクレジット決済(場合によって事前振り込み)になっています。クレジット情報を入力しない限り契約は成立しません。ご家庭でのしっかりとしたクレジットカードの管理が、大切になってきます。
 ・著作権:すべての著作物には著作権があります。インターネット上の画像・映像であっても、著作者がその利用に関する条件を明示していない限り無断で配布・贈与・販売などをすることはできません(著作権法)。子どもたちは学校で著作権を学びます。ご家庭でも折に触れ、著作権を守る態度を子どもたちに示すように心がけてください。
 ・ウイルス・不正プログラム等の侵入:ウイルスや個人情報を転送してしまう不正プログラムなどが侵入する危険があります。
 ・インストールによる不具合:プログラムをインストールする場合には、そのプログラムがパソコンのシステムにあっていないと、「動作に時間がかかる」「意図しないプログラムが起動する」などの不具合が起こってしまうことがあります。 このようなトラブルを回避するために、ご家庭でダウンロードする際のルールを決めておくとよいでしょう。
 子どものメール利用
◇現代社会では、インターネットや携帯電話が仕事や生活に必須のメディアとなっています。それを活用する力があるかどうかが、仕事をする上での能力にもつながっています。特にメールは、人と高密度で円滑なコミュニケーションを築くための有効なメディアです。しかし、文字だけのやり取りは、思わぬ誤解やトラブルも生みます。そのため、思いやりや気配りが不可欠なのです。子どものうちから「文字を通して相手の気持ちをくみ取ること」「お互いの意志を通わせあうこと」などを体験的に学んでいくことは、現代社会では大切な学習のひとつです。
◇最近では、パソコンによる電子メールについては、学校で扱う場合があります。しかし、その学習より前に携帯電話によるメールの送受信を経験する子どもも多いのが現状です。実際どのくらいの子どもが携帯電話を利用しているのでしょうか。平成16 年の通信利用動向調査(総務省)によると、携帯電話の利用率は「6 〜 12 歳で12.8%、13 〜 19 歳で69.6%」です。また、携帯電話を「音声通話のみ」で利用している子どもは1 割もなく、多くの子どもたちはメールやインターネットも利用しています。
◇携帯電話を個人で所有するようになれば、親からは見えない子どもの世界が広がっていきます。親としては不安になることもあるかもしれません。携帯電話を子どもに持たせる場合には、おうちの方自身が使っている上で感じた「気をつけること」や「怖かったこと」、「楽しいこと」などを元に、ルールやマナーを子どもに伝えてあげてください。普段の会話の中でも、わからないことを聞きあったり、失敗談を話したりしながら、携帯電話やメールの使い方を一緒に考えていけるといいですね。
 チェーンメールとは
◇「チェーン」とは鎖という意味で、同じメールが鎖のようにつながって送信されてしまうことを示しています。以前は手紙やはがきで「不幸の手紙」などと呼ばれる同じようなものがありました。
 これがメールだと簡単に転送でき、あっという間に増えてしまうため、ネットワークに負荷をかけ世の中に無用な混乱を招く恐れがあります。例えば、「10 人に送って」というメールをみんなが実行したとすると…1 人→ 10 人→ 100 人→ 1000 人→ 1 万人→ 10 万人→ 100 万人→ 1000 万人→ 1 億人となり、なんと8 回目には、ほぼ日本中の人にメールが届くことになるのです。
◇テレビ番組の名前を使ったデマ、幸せの押し売り、署名活動、ボランティア、不幸のメールなど内容もさまざまです。人の親切心や恐怖心を利用した内容なのでなかなか判断がつきません。届いたメールがチェーンメールかどうか見極めて、冷静に対処することが大切です。
( 例1) これは、実験です。番組でメールを出したらどのくらいでかえってくるか調べることにしました。このメールをもらった人は3 人の人にこのメールと同じものを送ってください。くれぐれも途中で止めないようご協力お願いします。
( 例2) ○○町のペットショップが店じまいをするそうです。お店に残った犬をもらってくれませんか?引き取り手がいないと保健所送りになるそうです。かわいそうなので、ぜひもらってください。できるだけ多くの人にこのメールをまわしてかわいそうな犬を助けてください。
 迷惑メールとは
◇「迷惑メール」とは、知り合いでもない相手から送られてくる読みたくないメールのことで、企業の広告や勧誘などが多いようです。
◇メールアドレスからは大人か子どもかわからないため、アダルト系の迷惑メールが届いてしまうこともあります。突然届いたメールに驚かないように、そのようなメールが届くことがあることを説明し、迷惑メールフィルタで対処してあげましょう。迷惑メールフィルタはパソコンだとメールソフト、携帯電話だと設定の変更で行えます。また、プロバイダや携帯電話会社で対処できる場合もあります。調べてみましょう。
◇気をつけないといけないのは、ネットショッピングで買い物をすると、自動的に広告メールが送られてくる仕組みがあることです。この場合はそのネットショッピングのホームページに行けば、広告メールの配信停止の方法が載っていますので手続きをすればメールの配信を止めることができます。また、オンラインソフトをダウンロードする時にメールアドレスの入力を求められ、その後、広告メールが送られてくることもあります。
 コンピュータウイルスとは
◇コンピュータウイルスとは、コンピュータからコンピュータへと広がっていく悪意を持ったプログラムのことです。その動作が、人間に感染するウイルスと似ていることから、コンピュータウイルスと呼ばれています。
◇ウイルスの多くは、「パソコンをこわす」などいたずらが目的のものですが、なかには、パソコンの個人情報を盗み出したり、個人情報を手当たり次第にばら撒いたりするなど、大きな被害をもたらすものもあります。ウイルスにより個人情報が漏洩した事件は、マスコミ等でもよく取り上げられています。
◇メールの添付ファイルがウイルスに感染していることがあります。このファイルを開くと自分のパソコンがウイルスに感染してしまいます。このとき、ウイルスはメールの送信者を偽造するので、知りあいからのメールになりすました、ウイルスのメールにだまされる危険があります。

Qコンピュータウイルスを防ぐ方法は?
ウイルスの手口は、ますます巧妙化しています。ただ単に「気をつけていれば大丈夫」というわけにはいかなくなっています。最低限、次の3つのことを守りましょう。
A
@ パソコンにウイルス対策ソフトが入っていることは常識です。そして、それが常に最新のウイルスに対応できるように、最新の状態に保つようにします。
A ウイルスは、パソコンのOS(Windows など)の弱点を狙ってくるものがたくさんあります。パソコンのOSも、この弱点を修正した最新の状態に保つようにします(Windows アップデートなど)。
B 他から持ち込むファイルには常にウイルスに感染している危険性があることを意識しておきましょう。インターネットからのダウンロード、メールの添付ファイル、フロッピーやUSB メモリから持ち込むファイルなど、まずウイルス対策ソフトで検査するようにしましょう。
 メールを使った詐欺にあわないために
◇メールやWeb ページに表示したリンクをクリックさせて詐欺のページに誘導するような手口は、ワンクリック詐欺と呼ばれています。自分に落ち度があるかのように思わせて、お金を振り込ませたり、個人情報を聞きだそうとしたりします。画面に携帯電話固有の番号である「個体識別番号」などが表示されることがありますが、そのことでただちに電話番号や住所が知られてしまうわけではありません。落ち着いて対処しましょう。もっとも確実な対処は無視することです。
◇特にあやしいメールをクリックしなくても、あちこちページを見ているうちに、詐欺のページに行きついてしまうことがあります。「はずかしいページを見ていた」と疑われたくなくて、子どもが親に相談できないでいると、対処も後手に回ります。うっかり相手に返事をして、メールや電話番号、住所などが知られてしまってから対処するのは、たいへん困難です。
 パソコンや携帯電話は子どもに与えたままにするのではなく、困ったことはないか、意味がわからない表示が出たことはないかなど、定期的に声をかけて入り口で問題を防ぐことを心がけてください。
 個人情報の保護
◇プライバシーと個人情報
個人情報の保護とプライバシーの保護はどのように違うのでしょうか。私的な事柄を、みだりに他人に知られない権利がプライバシーです。思想・信条などもプライバシー権で守られます。個人情報は個人に関する情報で、プライバシーと似ていますが、特定の目的のためには他人に知らせていい情報です。郵便物を送ってもらうために相手に教える住所・氏名、電話をかけてもらうための電話番号などは、目的の範囲内で使われるのなら、他人に教えることは必要です。しかし、他の目的に流用されたり、他人に漏洩されたりするのは困ります。そのため、個人情報には取り扱いのルールが決められています。
◇個人情報の取り扱い
国や自治体は法律や条例で個人情報の取り扱い方を定めています。民間事業者も2005 年4 月から個人情報保護法に従って取り扱う義務が課せられています。目的を明示して個人情報を収集し、目的の範囲内で使用すること、漏洩しないように管理すること、本人の求めに応じて開示したり修正に応じたりすることなどが定められています。これにより、業者は、法で規定された特別な場合を除き、本人の許可なく第三者に個人情報を教えることはできません。個人情報の取り扱いの原則には2種類があります。ひとつは、本人の承諾がなければ個人情報を使えないという厳しいルールで、プライバシーマーク(Pマーク)を表示した業者などはこれに従っていますが、あまり多くはありません。一方、日本の法律はもうひとつの原則に基づいており、本人の承諾がなくても、本人の拒否の意思表示がなければ個人情報を使ってもよいことになっています。逆にいうと、拒否の意思表示がされたときは個人情報を削除する義務が業者に課せられています。たとえば不要な郵便物が送られてきたときに、業者に個人情報の削除を要求すれば、業者はこれに従わなければなりません。
◇家のひみつを話さないようにする
子どもの安易な発言が原因で、家族や知人の個人情報がもらされてトラブルに発展することがあります。家のひみつは他人に教えてはいけない、ということを日ごろから家庭で話しておくことは、安全な社会生活のために大切です。また、むやみに他人のプライバシーや個人情報を聞かない、知ろうとしない、という態度も、情報社会のマナーのひとつになっています。
 情報をみきわめよう
◇インターネット上には、たくさんの情報があります。ホームページや掲示板などは誰でも書き込み・公開することができます。公開前に内容をチェックする機関はありません。そのため、インターネット上にある情報は正しいものばかりではありません。古くなってしまったものや悪意を持って書き込まれたうその情報もあるのです。
◇インターネットで得た情報を吟味せず、そのまま鵜呑みにしてしまうことは危険です。その情報がどの程度信頼できるものか、チェックすることが必要です。
 以下の点を確認して、正確な情報をみきわめるようにしましょう。
●情報の発信元
誰が(企業、個人、専門家、素人など)発信している情報なのか、そこは信用できるところなのかどうかを確認しましょう。
(なりすましている場合もあるので、注意が必要です。)
●情報の公開日( 更新日)
情報が公開( 更新) された日づけが書かれている場合には、確かめましょう。古い日づけのままの情報では、現在と内容が変わっていることがあります。
●他のホームページやメディアの内容
同じ情報を扱っているホームページと内容を比較するようにしましょう。また、インターネットだけではなく新聞や本も調べてみましょう。

 法律を守ろう
法律は、私たちの権利を保護するためのものです。法律を守らないと(他人の権利を侵害すると)罰せられます。ネット社会にも利用のルールや法律があります。ご家庭でも、これらの法律を守ったインターネットの利用が大切です。
 ■著作権
・著作物とは、人間の思想、感情を創作的に表現したもののことです。文章、絵や音楽などが、これにあたります。
・自分が作ったものなら自分で使い方を決められます。著作権は、自分が著作物を作ったときから発生する権利です。
・他人の著作物は、勝手に複製したり、インターネット上に公開したりしてはいけません。
 ■肖像権
・肖像を公開するかどうか、どのように公開するかを決めるのは本人の権利です。
・インターネット上に肖像を公開するときは本人の許可を得ましょう。
※肖像権は法律に明記された権利ではなく、憲法で保障される人格権に含まれます。
 ■脅迫
・インターネット上の掲示板に、人を脅す書き込みをしてはいけません。
 ■不正アクセス
・他人のパスワードを勝手に使ってはいけません。
・他のコンピュータに対して、不正な手段を用いて侵入してはいけません。
 携帯電話のトラブルと対処法
 携帯電話は、情報化の進んだ現在の社会にあっては、もはや必需品です。総務省の「平成16 年通信利用動向調査の結果」によると「個人の携帯電話の利用率」は、6〜 12 歳で約12.8%、13 〜 19 歳で約69.6%、20 〜29 歳で約95.2%となっています。また、さまざまな調査からも、携帯電話は中・高校生では、なくてはならないコミュニケーションツールとなっていることがわかります。また、小学生でも「塾で帰りが遅くなるので連絡のために」、また「GPS で位置がわかるので防犯用に」などの目的で、保護者が持たせるご家庭も増えてきています。
 しかし、携帯電話から入ってくる情報は、保護者を介さず、直接、子どもたちに届きます。実際、アダルトな誘い、脅迫、詐欺などのトラブルに巻き込まれた事例が全国で報告されています。大人でもだまされるほど手口は巧妙です。子どもの安全を守り、保護者として適切な助言をしていくためには、携帯電話の危険性について正しい知識を得ておく必要があります。実際にどのようなことが起きているのでしょうか。

1.社会で実際に起きていること
A.電話編
◇「ワンコ」、「ワンギリ」
「ワンコ」、「ワンギリ」 とは、電話の呼び出し音(コール)が1(ワン)回あって、こちらが出る前に切れてしまうもののことをいいます。これだけなら、どうということもない話ですが、人間はつい「アレ?誰かな?」と、かけなおしてしまいます。多くの場合、かけた先からテープで女性の声が流れアダルトな誘いを受け、すぐ電話を切っても、あとから高額な請求書が送られてきます。
◇オレオレ詐欺(恐喝)
 電話で「オレオレ、あのさ、困ってるんだよ」などと、あたかも家族であるかのような口調で、指定口座にお金を振り込ませる詐欺のことです。警察庁のまとめによると、平成17 年の被害総額は約130 億円にものぼるそうです。高齢者を中心に被害が広まっていますが、修学旅行先からだと偽ったにせの先生からの電話に乗せられ被害にあった例もあります。実家を離れて暮らしている大学生の親御さんには、相当数の電話がかかっていて、実際の被害も起きています。最近の大学には「家に「元気だよ」と連絡を入れましょう」というポスターが貼られていたりもします。他人事ではありません。

B.携帯メール編
◇身分詐称が可能な世界
携帯電話からのメールは、発信者名を偽装することができます。名前だけで「○○さんからだ!」と思うのは危険です。他人の振りをしてネットワーク上で行動することを「なりすまし」といい、「なりすまし」による犯罪も多く起きています。話の内容が少しでもおかしいと思ったら、まず、メールアドレスの文字列が前に受け取ったものと同じかを確認するほうがいいでしょう。いたずら程度のなりすましメールは、これで見破ることもできます。しかし、最近は、このメールアドレスすらも、偽装することが可能なのです。メールアドレスを詐称した詐欺「他人のメールアドレスを使って信用させ、指定の口座
にお金振り込ませる」が実際に起きています。実は、パソコンから発信される電子メールでは、どのメールサーバ(コンピュータ)からメールを発信したかという情報は書き換えることができません。したがって、パソコンにおかしなメールが届いた場合には、メールの発信元や経由してきたサーバーなどの情報を確認できます。しかし、携帯電話はパソコンより機能が限られていて、メールアドレスまでしか確認できません。そこでメールアドレスが知人のものと同じだと、信じてしまうわけです。「事故を起こして大変だ」「お金を送ってくれ」といった、緊急を装って、有無を言わせず何らかの行動をとるように指示してるメールの類は、そのまま信用せず、本人に直接連絡を取って確認することが大切です。
◇学校で起きているトラブル
学校の中でのトラブルは、金銭的なものより心の問題が絡んできて複雑です。子どもたちはおしゃべりや交換日記のような感覚で、携帯を使っています。当然、従来からあったさまざまな問題が、携帯電話を介して起きてきます。噂話など真偽が不確かな内容を広めてしまい、それが集団でのいじめにつながっているという例、チェーンメールを回してしまって友人関係が壊れてしまった例もあります。さらに、他人になりすましてうその手紙を出したり、告げ口をしたり、悪口を言ったりということを、携帯電話で行うこともあります。インターネット上には「なりすまし」を支援するという悪質なページがあり、そこで他人のメールアドレスを入力し、送りたい相手にメールを送ると、簡単に「なりすまし」を行うことができます。保護者や教員がそのことを知らず、送られてきたメールを本物と思いこんで見当違いの指導をして、深刻な問題に発展した事例も起きています。

C.Web 編
◇振り込め詐欺
「振り込め詐欺」とは、「架空請求詐欺」「オレオレ詐欺」「融資保証金詐欺」の総称です。テレビや新聞の報道でも取り上げられていますので、ご存知の方も多いと思いますが、いまだに、被害者があとを絶ちません。「架空請求詐欺」では、最近、若い世代の被害が増加しています。送られてきたメールなどにある「プレゼント」「無料」などという甘い誘い文句についつられて、リンク(URL)をクリックすると、こちらの情報が相手に把握され、不当請求、脅しがはじまります。「ワンクリック詐欺」と呼ばれているものもこの一種です。いずれにしても、反応したら執拗に追いかけてきますので、手口・対策をよく知っておくことは大切です。

【事例1】携帯電話に「電話会社のサービスセンターです。メッセージがあります。」というメールが来ていたのでクリックしたら、アダルトサイトにジャンプしてしまった。驚いてすぐに切ったが、利用料金を請求するメールが届いた。
【事例2】「貴方の写真が掲載されています。」というメールが届いたので接続したところ、「アダルトサイトの有料会員に登録されました。」と表示され高額な登録料の請求を受けた。
【事例3】無料サイトを利用中、突然、画面に「有料会員になりました。」という表示があり、高額な登録料の請求を受けた。
【事例4】「完全無料」と書かれていたので登録したが、高額な請求がきた。「おかしいじゃないか」と問い合わせたところ、説明をよく見るようにとURL が送られてきた。その画面に行ってみると、「一部完全無料」と書かれていた。
【事例5】「契約解除の方はこちらから」 というリンクをクリックしたところ、メールが届き、「あなたの携帯の個体識別番号は××××××です。契約の解除の手続きのためには、保証人の住所・電話番号・本人の住所が必要ですので、以下のところに電話をしてください。それまでは、契約は続行されます」と書かれていた。電話をしたところ…。
一度、アクセスをしたら、巧妙なやり取りで、個人情報が聞き出されていきます。「弁護士事務所」や「裁判関連の公的機関」を装った名称で、通達や召喚状がきたりもします。気をつけなければならないのは、本当の裁判所からの通達が来ることもありうることです。これは(通達に書かれている電話番号ではなく)、自分で電話番号を調べ、連絡してみることで確かめることができます。通達が本物であった場合には、事実のいかんにかかわらず出廷しないと、面倒なトラブルに発展していきます。詳しい情報は、国民生活センターや警察庁のホームページで、架空請求詐欺、ワンクリック詐欺などのキーワードで検索してみてください。

◇出会い系サイト
携帯電話によって事件に巻き込まれる例として一番多いのが、出会い系サイトとの関わりです。携帯電話を通して、子どもたちはダイレクトにそれらの情報に接することが可能です。大人社会についての知識が少ない子どもにはその先の危険性についての判断ができません。安易な気持ちや興味本位で行動してしまい、命に関わるような取り返しのつかない事態を招いてしまいます。警察庁のまとめによると、平成17 年の出会い系サイトに関係した事件の被害者数1,267 人のうち、約84%が18歳未満、約64%が女子中高生でした。また、出会い系サイトへのアクセスの約96%は、携帯電話から行われていました。これらの被害は氷山の一角、実際にはもっと広がっているとみられます。我が子にも忍び寄っている危険であることを保護者として認識しておくべきでしょう。
 
2.トラブル・事件を回避するための押さえどころ
A.手口
リンク(URL)をクリックすると、登録が完了したという表示と同時に、携帯電話の個体識別番号や料金請求のメッセージが表示されます。また、「YES」「NO」を選ぶ画面で、たとえ「NO」を選んだとしても「YES」と同じところへつながっていることもあります。個体識別番号や位置情報などを画面に表示させることで消費者に個人情報が知られているので請求から逃げられないと思いこませるねらいがあります。これらの情報で住所や氏名が特定できるものではありません。あわてないで冷静に対処しましょう。
B.対策
◇絶対してはいけないこと
・リンク(URL)はクリックしてはいけない。
・不正請求に対して、問い合わせ、クレームの申し入れなどをしてはいけない。
・電話は絶対、かけてはいけない。 問い合わせなどをすると、相手にさらに詳しい個人情報を伝えてしまう結果になります。無視することが大事です。


◇何かが起きてしまったらどうするか
すぐに、国民生活センター(あるいは地域の消費生活センター)へ相談しましょう。
  国民生活センター http://www.kokusen.go.jp/
  消費生活センター http://www.kokusen.go.jp/map/
  警察庁 インターネット安心・安全相談 http://www.cybersafety.go.jp/
犯罪性が高い、緊急の被害などはすぐに警察へ連絡しましょう。
  都道府県警察本部のサイバー犯罪相談窓口 http://www.npa.go.jp/cyber/soudan.htm
3.保護者としての指導
◇社会を知っている大人として、事例は勉強しておく
携帯電話を持つことは、大人社会と直結することです。さまざまなトラブルや犯罪とつながっているということを指導する必要があります。
◇対処法は、はっきり伝える
トラブルに巻き込まれたことを保護者にいいにくいために、自分で何とかしようとして消費者金融などからお金を借りようとする場合もあるようです。事前に、対処法について正しい知識を得て、どうしたらいいのかを親子でしっかりと確認しましょう。
事例や対応策を情報提供しているホームページを検索し、子どもと一緒に見ながら、「これって、○○でやめとけばよかったんだね」「これは気をつけないと、大人も引っかかりそうね」など、会話の種にしてみるのもよいかもしれません。
◇携帯電話の利用ルールを親子で話し合い、子どもが納得するルールを決める
小さいうちは、保護者が一方的に約束を押しつけることも必要でしょうが、成長していくにつれ、よりよい使い方を自分で判断できるように導いていきたいものです。携帯電話を購入する際には、まず、ルールを決めておきましょう。
 例) ・携帯のWeb アクセス制限をかける
   ・利用明細を取り寄せ、本人や保護者が確認できるようにする
   ・月額○○円までと利用制限を決める(オーバーした分は、お小遣いから引く)
   ・保護者からの連絡には必ず返事を返す
親子間で話し合い、子どもが納得するルールを決めることが大切です。ルールは成長にしたがって見直していくとよいでしょう。20 歳になれば、契約行為は個人の責任で行うようになります。それまでに、責任ある自主・自立の行動を身につけていけるよう支援するのが、保護者の役割です。

◇契約は保護者だけでしない。記入事項を確認せずに印を押さない。
契約には保護者の保証が必要です。しかし携帯電話の契約は、実社会と触れる、いいチャンスです。契約の際には、子どもを同席させて、どのような書類を書くのか、どのような手続きをするのか見せるようにしましょう。保護者への信頼を感じるまたとないチャンスでもあります。できれば、本人が書いてもよい部分は本人に書かせましょう。
 子どもたちにとっては、携帯電話はファッションでもあります。お小遣いに余裕が出てくると、機種変更なども頻繁に行うようになりますが、いつでも、保護者の保証が必要になります。慣れてくれば、子どもが自分で書類をもらってきて、「はんこ押すだけでいいから」といってきます。そのとき、何も書いていない用紙に印を押さず、書き込みをしてある書類の内容を確認して、印を押すようにしましょう。
契約の当然のルールです。保護者が自ら、契約の厳正さを示しましょう。
4.もっと知りたい方へ
安全な社会生活を送るために、ネット犯罪や実際の社会で起きている事件などの事例や対策が、インターネット上で公開されています。主なものを、以下にあげておきます。携帯電話だけでなく、インターネット全体のトラブル事例も見ることができます。次々と現れるネット犯罪に対する情報や対処法を知ることができる役立つサイトです。
国民生活センター  http://www.kokusen.go.jp/
警察庁  http://www.npa.go.jp/
警視庁:安全な暮らし  http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/anzen/sub0.htm
警視庁:ハイテク対策
   http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/haiteku/index.htm
警視庁キッズページ(中学生・高校生向けの啓発サイト)
  ・ハイテクKIDS:携帯電話を使う時に注意しよう
   http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/haiteku/hikids/hikids03.htm